結論:トレーディングカードを買い取る古物商は、対価の総額が1万円以上(消費税を除く)の買取りのたびに、取引の年月日・品目と数量・特徴・相手方の住所氏名職業年齢・確認の方法の5項目を帳簿等に記録し、最終の記載から3年間保存します。1万円未満の買取りと、トレーディングカードを売るとき(引き渡すとき)は、古物営業法上の記録は不要です。記録は取引のたびに行い、1週間分などをまとめて書くことは認められていません。
この記事でわかること
- 記録が要る取引・要らない取引の判定
- 帳簿に書く5項目と、トレーディングカードでの「特徴」の書き方の例
- 紙・伝票・電子データで記録するときの条件と、保存期間
この記事は、一般の方からトレーディングカードを買い取るカードショップ・買取事業者の方向けです。古物営業法・同施行規則と警察庁の解釈運用基準(2026年5月14日付)を2026年10月27日に確認しています。個別の運用は所轄の警察署にご確認ください。
1. 記録が要る取引・要らない取引
警察庁の解釈運用基準の別表では、トレーディングカードのような「上記以外の古物」(美術品類・時計宝飾品類・自動車・オートバイ・ゲームソフト・CD/DVD・書籍などの特別な扱いがある品目以外)について、次のように整理されています。
| 取引 | 相手方の確認 | 帳簿等への記録 |
|---|---|---|
| 買取り:対価の総額が1万円以上 | 必要 | 必要 |
| 買取り:対価の総額が1万円未満 | 不要 | 不要 |
| 売却(引き渡し) | — | 不要 |
| 自分が売った相手から、その物を直接買い戻す | 不要 | 不要 |
根拠は、古物営業法15条2項・16条ただし書と同施行規則16条・18条です。売却時の記録が必要なのは、美術品類・時計宝飾品類・自動車・オートバイ(部分品を含む)に限られます(規則18条1項)。
1万円未満の買取りでも、都道府県の条例で年少者からの買受けに制限がある場合があります。警視庁の解説ページは、1万円未満であっても18歳未満の者からの買取りでないことを確認する必要があるとしています。営業所の所在地の警察署にご確認ください。
「1万円」の数え方
- 一度に持ち込まれた物の対価をすべて足した額で判定します。1枚ずつの単価ではありません。
- 警察庁の解釈運用基準は、この1万円には消費税を含まないと説明しています。消費税を除いた額が1万円以上なら記録が必要です。
- 相手が数回に分けて持ち込み、各回が1万円未満になる場合は記録の義務はありませんが、正当な理由なく分けて売ろうとする相手については、警察官への申告義務が生じる場合があります(解釈運用基準 第14の4(1)、古物営業法15条3項)。
消費税の古物商特例(帳簿のみで仕入税額控除)を使う場合、国税庁のQ&Aは「1万円以上(税込み)」と書いており、警察庁の説明と書きぶりが異なります。扱いは古物商特例とはで整理しています。
2. 帳簿に書く5項目
- 取引の年月日
- 古物の品目と数量
- 古物の特徴
- 相手方の住所・氏名・職業・年齢
- 相手方の確認のためにとった措置の区分(身分証明書等の提示を受けた場合などは、その方法も)
(古物営業法16条)
トレーディングカードでの書き方の例
次の例は、記入の仕方を示すための架空の取引です。実在の取引や人物ではありません。「特徴」に何を書けば物を特定できるかは法令に細かい定めがないため、当社が実務上の目安として整理したものです。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 取引の年月日 | 2026年11月2日 |
| 品目・数量 | トレーディングカード(シングル)2枚、未開封ボックス1箱 |
| 特徴 | タイトル名、カード名、カード番号・レアリティの表記、言語版、傷や反りなどの状態。鑑定品は鑑定会社名・グレード・認定番号。ボックスはシュリンクの有無 |
| 相手方 | 住所・氏名・職業・年齢(身分証明書等で確認した内容) |
| 確認の方法 | 運転免許証の提示を受けた、など |
帳簿等には、原則として1品ごとに記載します。書籍は、同じ人から同時に受け取った物をまとめて書く方法が認められていますが(解釈運用基準 第15の1(4))、トレーディングカードについて同様の扱いを示した記載は確認できませんでした。大量の買取りでまとめて記載したい場合は、事前に所轄の警察署に相談してください。
3. 記録の方法:紙・伝票・電子データ
| 方法 | 条件 |
|---|---|
| 帳簿 | 施行規則の様式(別記様式第15号)による帳簿 |
| 帳簿に準ずる書類 | 記載事項を取引の順に書ける様式の書類、または取引ごとに書ける取引伝票。伝票は取引の順にとじ合わせておく(規則17条) |
| 電磁的方法(電子データ) | パソコンや記録媒体への入力。POSシステムでも5項目を網羅していれば該当する。営業所で直ちに書面に表示(印刷)できるようにしておく。データの一括管理は、各営業所で印刷できれば本社で行ってもよい(法18条、解釈運用基準 第15) |
4. 保存期間と、なくしたとき
- 帳簿等は最終の記載をした日から3年間、営業所に備え付けます。電子データは記録した日から3年間、直ちに書面に表示できるように保存します(古物営業法18条1項)。
- 帳簿等をき損・亡失したときは、直ちに営業所の所在地の所轄警察署長に届け出ます(同条2項)。
- 古物台帳を消費税の帳簿としても使う(古物商特例)場合は、7年間の保存が必要です(国税庁 インボイスQ&A 問110)。
記録をしなかった場合や虚偽の記録をした場合は、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です(古物営業法33条)。
5. あわせて守ること:品触れ
警察から盗品等の「品触れ」を受けたときは、書面に到達の日付を書いて6か月間保存し、その日に該当する古物を持っていた場合や、期間内に該当する古物を受け取った場合は、直ちに警察官に届け出ます(古物営業法19条)。帳簿等の「特徴」をきちんと書いておくと、品触れとの照合がしやすくなります。
6. 運用の確認リスト
- 買取りの合計額(税抜)で1万円以上かを、受付の時点で判定している
- 5項目を取引のたびに記録し、まとめ書きをしていない
- カードの特徴(カード名・番号・状態、鑑定品の認定番号など)が後から特定できる粒度で残っている
- 電子データの場合、営業所で印刷できる
- 保存期間(古物営業法3年、消費税の帳簿として使うなら7年)を決めている
相手方の確認の方法(特に宅配・ネット買取)は、古物の非対面取引の本人確認で説明しています。
当社との取引について
株式会社めんつゆハイブリッドは、古物商許可を受けてトレーディングカードの販売・卸売・海外販売を行っています。カードショップ・販売事業者の方からの仕入れのご相談は、お問い合わせフォームでお問い合わせ種別「卸売・仕入れのご相談」をお選びください。取扱状況とお取引条件は、内容を確認して個別にご案内します。帳簿の運用など法令のご相談はお受けしていません。
出典(2026年10月27日確認)
- e-Gov法令検索「古物営業法」15条・16条・18条・19条・33条:https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000108
- e-Gov法令検索「古物営業法施行規則」16条〜18条:https://laws.e-gov.go.jp/law/407M50400000010
- 警察庁「古物営業法等の解釈運用基準について(通達)」令和8年5月14日(第14の4、第15、別表):https://www.npa.go.jp/laws/notification/seian/seiki/20260514kobutsukaishaku.pdf
- 警視庁「非対面取引における確認の方法」(2026年2月12日更新):https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kobutsu/kaisetsu/hitaimen.html
- 国税庁 インボイスQ&A 問110:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/110.pdf
本記事は、2026年10月27日時点の法令・公表情報をもとにした一般的な解説です。