結論:宅配買取やネット買取など、相手と会わずに古物を買い取るときの本人確認は、古物営業法施行規則15条3項に定められた方法から選びます。身分証明書のコピーや住民票の写しを送ってもらうだけでは足りず、多くの方法で「転送しない取扱いの書留など(受領の記録が残るもの)を相手の住所へ送り、届いたことを確かめる」「本人名義の口座に代金を振り込む」といった手順の組み合わせが必要です。初回に確認した相手には、2回目以降はIDとパスワードなどで確認済みであることを確かめる方法も使えます。
この記事でわかること
- 非対面で使える確認方法の一覧と、それぞれの相手の手間
- よくある誤り(コピーだけ・宅配便の利用・法人との取引)
- 確認が要らない取引と、記録・保存のしかた
この記事は、トレーディングカードの宅配買取・ネット買取を行う古物商の方向けです。古物営業法施行規則(2026年8月12日施行の版)と警察庁の解釈運用基準(2026年5月14日付)、警視庁の解説ページ(2026年2月12日更新)を2026年10月27日に確認しています。運用の細部は所轄の警察署にご確認ください。
1. 確認が必要な取引
古物を買い取るときは、相手方の住所・氏名・職業・年齢を確認する措置をとります(古物営業法15条1項)。トレーディングカードの場合、一度に買い取る物の対価の総額が1万円以上(消費税を除く)なら確認が必要で、1万円未満なら不要です(同条2項、施行規則16条、警察庁 解釈運用基準 第14の4)。自分が売った物をその相手から直接買い戻す場合も不要です。
なお、警視庁の解説ページは、1万円未満であっても18歳未満の者からの買取りでないことを確認する必要があるとしています。都道府県の条例による扱いがあるため、営業所の所在地の警察署にもご確認ください。
相手が法人でも、確認するのは実際に取引をしている担当者(自然人)です(解釈運用基準 第14の1)。
2. 非対面で使える確認方法の一覧
施行規則15条3項の各号を、相手から受け取る物・相手に送る物で整理しました。10号だけは対面で使う方法で、それ以外は非対面でも使えます。どの方法でも、あわせて相手から住所・氏名・職業・年齢の申出を受けます。
| 方法(規則15条3項) | 古物商がすること | 相手の手間・注意 |
|---|---|---|
| 1号 印鑑登録証明書 | 印鑑登録証明書と、その印鑑(実印)を押した書面の送付を受ける | 役所で証明書を取得する手間。書面の種類に制約はない |
| 2号 本人限定受取郵便 | 本人限定受取郵便物等を送り、到達を確かめる(同封の受付票を返送してもらう等) | 受け取りに本人の書類提示が必要。通常の宅配便は該当しない |
| 3号 代金を本人限定受取で送る | 金品を内容とする本人限定受取郵便物等で代金を支払うことを約束する | 約束と違う方法で支払う場合は、別の方法で確認し直す |
| 4号 住民票の写し等 または ICチップ・専用ソフトでの撮影+転送不要郵便 | 住民票の写し等の送付、または身分証明書等のICチップ情報・専用ソフトで撮影した画像の送信を受け、その住所へ転送しない書留等を送って到達を確かめる | 専用ソフトは画像の加工ができないもの。事前に撮った画像は不可。画像の送信を受けた場合は、その画像を帳簿等と一緒に保存する |
| 5号 書類の写し2点 または 写し+補完書類+転送不要郵便 | 身分証明書等・住民票の写し等の写し2点、または写し1点と公共料金の領収書など(6か月以内)の送付を受け、転送しない書留等を送って到達を確かめる | 写しは明瞭なもの。写しは帳簿等と一緒に保存する |
| 6号 住民票の写し等+本人名義口座 | 住民票の写し等の送付を受け、そこに書かれた氏名の名義の口座へ代金を振り込む約束をする | 口座名義を古物商が確かめる |
| 7号 身分証明書等の写し+転送不要郵便+本人名義口座 | 写しの送付を受け、その住所へ転送しない書留等を送って到達を確かめ、写しの氏名の名義の口座へ振り込む約束をする | 写しは帳簿等と一緒に保存する |
| 8号 容貌+写真付き身分証明書の画像 | 専用ソフトで、相手の容貌と写真付き身分証明書等(厚みなどの特徴も分かるもの)の画像の送信を受ける | ビデオ通話も含む。顔写真との同一性を確認し、身分証の画像を保存する |
| 9号 容貌の画像+ICチップ情報 | 専用ソフトで容貌の画像と、写真付き身分証明書等のICチップ情報(写真を含む)の送信を受ける | ICチップ情報の真正性の確認が想定されている |
| 10号 電子機器への署名 | 古物商の面前で、ペン型の器具で画面に氏名を筆記してもらう | 対面の手続き。指やキーボード入力は不可 |
| 11号 マイナンバーカードの署名用電子証明書 | 署名用電子証明書と、電子署名された住所等の記録の提供を受ける | 古物商が署名検証者であること(認定を受けた者への委託の特例あり) |
| 12号 認定を受けた事業者の電子証明書 | 公的個人認証法の認定を受けた署名検証者が発行した電子証明書と、電子署名された記録の提供を受ける | 発行者が該当するかは総務省への照会などで確認 |
| 13号 2回目以降のID確認 | 初回に確認した相手にIDとパスワードなどを付与し、その送信を受けて確認済みであることを確かめる | 初回は他の方法で確認が必要 |
このほか、法律で定められた方法として、電子署名が行われた住所・氏名・職業・年齢の記録の提供を受ける方法もあります(古物営業法15条1項3号)。各方法の詳しい要件は施行規則と警察庁の解釈運用基準 第14の3で確認してください。
3. 方法を選ぶときの考え方
- 相手の手間を減らしたい:専用ソフトで容貌と身分証を撮影してもらう方法(8号・9号)は、郵便の往復がありません。ただし、画像の加工ができないソフトを用意し、事前に撮った写真でないことを確かめる工夫(その場で示す数字を一緒に撮ってもらう等)が求められます。
- 代金の振込みとまとめたい:住民票の写し等と本人名義口座への振込み(6号)や、身分証の写し・転送不要郵便・本人名義口座の組み合わせ(7号)は、代金の支払いと確認を一体で進められます。
- リピーターが多い:初回に確認したうえで、2回目以降はID確認(13号)を使えます。メールや申込書にIDとパスワードを書かせるだけでは認められません(警視庁の解説)。
4. よくある誤り
- 身分証明書のコピーや住民票の写しを受け取るだけ:それだけでは確認として認められません。到達の確認や本人名義口座への振込みなどの組み合わせが必要です。
- 通常の宅配便で「本人限定」の代わりにする:本人限定受取郵便物等は、郵便局の本人限定受取などの取扱いを指し、単なる宅配便は該当しません。一方、4号・5号・7号で送る「転送しない取扱いの配達記録郵便物等」には、書留など受領の記録が残る郵便物のほか、受取人の受領印を受ける取扱いの宅配便も含まれます(解釈運用基準 第14の3)。営業所留めや集合ポストへの配達、隣家への預けなどで受け取れるものは当たりません(警視庁の解説)。
- 旅券(パスポート)を住所の確認に使う:所持人記入欄に住所を自分で書けるため、住所を証する資料とはされていません(解釈運用基準 第14の2)。
- マイナンバーカードの裏面を撮影させる:個人番号が記載された裏面の画像は受け取らないよう注意が必要です(警視庁の解説)。
5. 確認したあとの記録と保存
買い取った古物ごとに、取引の年月日・品目と数量・特徴・相手方の住所氏名職業年齢・とった確認措置の区分を帳簿等に記録し、3年間保存します(古物営業法16条・18条)。写しや画像の保存が条件になっている方法(5号・7号・8号など)では、どの取引で受け取ったかが分かるようにして、帳簿等と一緒に保存します。帳簿の付け方は古物の帳簿(古物台帳)の付け方で説明しています。
確認を怠った場合は、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です(古物営業法33条)。また、不正品の疑いがあるときは、直ちに警察官に申告します(同法15条3項)。
当社との取引について
株式会社めんつゆハイブリッドは、古物商許可を受けてトレーディングカードの販売・卸売・海外販売を行っています。カードショップ・販売事業者の方からの仕入れのご相談は、お問い合わせフォームでお問い合わせ種別「卸売・仕入れのご相談」をお選びください。取扱状況とお取引条件は、内容を確認して個別にご案内します。本人確認の運用など法令のご相談はお受けしていません。
出典(2026年10月27日確認)
- e-Gov法令検索「古物営業法」15条・16条・18条・33条:https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000108
- e-Gov法令検索「古物営業法施行規則」15条・16条:https://laws.e-gov.go.jp/law/407M50400000010
- 警察庁「古物営業法等の解釈運用基準について(通達)」令和8年5月14日(第14):https://www.npa.go.jp/laws/notification/seian/seiki/20260514kobutsukaishaku.pdf
- 警視庁「非対面取引における確認の方法」(2026年2月12日更新):https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kobutsu/kaisetsu/hitaimen.html
本記事は、2026年10月27日時点の法令・公表情報をもとにした一般的な解説です。